INFP型しゃどみのブログ

性格診断でINFPと知り、考えたことを心の外に出してみようと決めました。

墨汁のかおりで思い出すもの

久しぶりに墨汁で文字を書きたくなった
墨汁のかおりが小さな空間に広がる
その漆黒の重みはこころを落ち着かせる

墨汁のかおりは
子どもの頃の習字教室を思い出す

隅っこにある先生の大きな机の位置を思い出す
先生の朱色の墨を思い出す
朱色の墨で私も書いてみたいと憧れたことを思い出す
先生がよく着ていた袖のないワンピースを思い出す

暑い暑い夏の日だけ一杯の麦茶がもらえたことを思い出す
麦茶の時間が楽しみだったことを思い出す
飲み終えたあと一人一つずつ大きな氷がもらえて大事に口で溶かしていたことを思い出す

教室にたくさん並んだ木の長い机を思い出す
大きなお姉さんが書いてるお経みたいな読めない文字がいつも不思議だったことを思い出す

教室の入り口に並ぶたくさんの靴を思い出す
離れのトイレはちょっと怖かったことを思い出す
筆を洗えば手がかじかむ真冬の冷たい水を思い出す
墨で真っ黒に染まる水と透明になっていく水を思い出す

後ろから先生が手を沿えて一緒に書いてくれると魔法みたいに上手に書けてわくわくしたことを思い出す
小学校3年生になった頃から字がお手本通り上手に書けるようになってうれしかったことを思い出す

上手に書けていても最後の最後に失敗したらどうしようと思った途端に筆が震えてしまったことを思い出す
先生は文字を見ればどうして筆が震えてしまったのか全部お見通しでなんでわかるんだろうと不思議だったことを思い出す
最後の最後に失敗してしまってばれないように二重書きしたのにすぐにばれてしまってちょっと気まずかったことを思い出す

「どんなことがあっても書き終えたあとの文字の上に重ねて書いていけないのよ」という先生の教えを思い出す
「筆が震えてしまうのは気持ちが迷ってしまったからなのよ」「力を抜いて思いきって書きなさい」という先生の教えを思い出す

小学校3年生まで習字を習って
そこそこの美文字になれたのに
中学で丸文字や斜めに崩して書く文字が女子の間で大流行

あっけなく私の美文字は崩れ去り
いつでも元に戻せるはずが戻し方を忘れてしまい大人へ

そして私は加藤アナの美文字にいたく感動し
本日美文字の練習をしている
先生の教えを思い出しながら

背筋を伸ばしてとか呼吸を整えてとか
心を落ち着かせてとか
そういうことは一切言わなかった先生

最初だけ力を込めてあとは力を抜いて書くこと
筆が滑らかに進むとき それは迷いがないこと
今思えば大事なことを教えてくれていたんだなぁ

筆が滑らかに進む心地よさを慈しむ6月の日曜日
加藤アナの美文字に憧れて
あいうえおから練習してる6月の日曜日